衛益顆粒

◆衛気とは?◆
「衛気」(エキと読みます)とは、中国漢方でいう”気”の一種で、人間にとって大切な抵抗力や免疫機能のことであり、主に皮膚、粘膜に存在する免疫機能のことです。私たちの健康を損なうものから私たちの体を守ってくれます。

しかし、私たちの体を守ってくれる力が弱まれば、病邪が体の中に侵入してきてしまい色々な病気を発症させてしまいます。

◆衛気虚とは??(衛気不足)症状とは??◆
衛気虚とは、自然老化やその他の多様な原因により起こる皮膚や粘膜機能の低下であり、免疫力が弱くなった状態のことです。

主な症状として
●汗がだらだらとでる
中医学では汗の働きは皮膚が持つ機能の一つとしてとても重要なものと考えられます。体の水分・体 液は、汗に代わることで多くの熱量を吸収します。血液御仲で水分は90%を占めており、血液循環に素早く体全体を巡り体温調節に役立っています。

また、中医学では、体内の水分は体にとって重要な「津液」(しんえき)と呼ばれ有用な水分として体の隅々まで潤し、滋養作用を持つものと考えられています。
ですから、体に重要な水分が汗となって体外へ出るので、安易に消耗してはいけないということです。

衛気が不足すると発汗のコントロールができなくなり、汗とともに気も流出するため衛気がますます消耗していく悪循環に陥ります。

●寒がりで風邪をひきやすい
衛気虚になると、体温調節機能が変調をきたすことから、皮膚温度が下がり寒がりになり、寒さに抵抗できなくなってしまいます。そして風邪をひきやすくなります。
いったん風邪をひくとそれがダラダラと長引き、スキッと回復しない状態になります。

これは熱エネルギーが不足することにより、皮膚や組織を温める機能が弱くなるためです。
また、衛気がコントロールしている毛穴の開閉による体温調節機能も失われます。
つまりは、毛穴が常に開いている状態で外の気温がそれほど低くなくても寒さを感じるようになります。

◆衛気不足を招く日本人の生活◆

<< 衣について >>
季節に関係なく薄着で過ごしていませんか?3首と言われるところは冷やさないことが健康には重要です。

<< 食について >>
冷たいものを取りすぎるな!とよくいわれます。しかしその温度は? 38℃ 体温より低いものを昔は冷たいもの、冷めたものといわれてきました。

<< 住について >>
日本は高温多湿な気候風土です。日本のじめじめした蒸し暑い気候は、常に発汗し「気」が体から抜けてしまいがちで、よって体力が落ち体がだるくなると考えられます。
環境が整備されているので、発汗管理機能が今の人は落ちています。
運動して汗をかくことは重要ですが、むやみに汗をかくのも問題です。

◆中医学の「異病同治」という考え方◆

中医学では「異病同治」という考え方があります。
これは、病気の種類は違っても、根本的な原因が同じであれば同じ治療法を用いるということです。

日本人に多いアレルギー疾患など現代病は、それぞれが違う病気のようであっても、中医学からみると「衛気不足」=衛気虚に原因があると考えられます。

症状、病名の例を挙げると、


●風邪をひきやすい
●寒がりで風にあたるのを嫌う
●汗がでやすい
●薄い鼻水、くしゃみ
●慢性的な咳、たん
●顔色が青白い
●慢性的な肌トラブル
●気管支が弱い、慢性気管支炎、気管支ぜんそく
●慢性的なじんましん
●アトピー性皮膚炎、湿疹
●傷が治りにくい、化膿した傷が治りにくい、術後の傷の癒合しにくい

などなど、症状・病名は異なっても衛気虚を改善する治療によって、これらの症状は緩和していきます。

◆中国では、玉屏風散(ぎょくへいふうさん)が衛気虚を改善するという考え◆

玉屏風散とは、玉(=宝石)の屏風が外敵から身を守る、という意味です。
玉屏風散は、そのまま漢方薬の処方として中国では知られています。

衛気の働きを補う「黄耆」(おうぎ)を中心に、「白朮」(びゃくじゅつ)「防風」(ぼうふう)という生薬がバランスよく配合され、身体の衛気を鍛え、抵抗力を強化する働きがあります。

玉屏風散は、虚弱体質を改善する漢方薬として知られており、上記の症状、虚弱体質で風邪を引きやすい人にとって絶好の風邪に強い体質づくりの漢方薬です。
特に風邪や気管支喘息、アトピー性皮膚炎などにも効果が期待されています。

◆日本では「衛益顆粒」という漢方薬の名前で絶大な支持を受けています◆
医薬品の衛益顆粒という漢方薬は、原処方名を玉屏風散(ぎょくへいふうさん)と言います。

黄耆(おうぎ)、白朮(びゃくじゅつ)防風(ぼうふう)という3種の薬草が3:1:1で構成されています。

<用法・用量>分包品:成人(15歳以上)
1日3回 1回1包食前又は食間に服用
●白朮(びゃくじゅつ)は、キク科の植物です。低下した胃腸の消化機能の回復、水分代謝の調節、虚弱体質の回復などの作用があります。元気がない、疲れやすい、下痢しやすい、食欲不振、むくみなどに使う代表的な生薬であり、手足の冷え、リウマチなどの関節痛にも効果があります。

●防風(ぼうふう)はセリ科の植物で、風邪の侵入を防ぎ、症状を和らげる効能があります。
発汗の促進・解熱の効果など風邪の症状に使用されたり、鎮痛・鎮痙作用、抗アレルギー作用、かゆみを止める作用があります

◆生薬の黄耆(おうぎ)が持つ秘められたパワー◆

生薬の黄耆には、多糖体、果糖、フラボノイドなどをはじめ、葉酸、多種のアミノ酸などが含まれています。これらの成分の働きにより免疫機能を調節し、皮膚や粘膜のバリア機能を活性化するのです。
黄耆(おうぎ)はマメ科の植物

1)黄耆の免疫調節作用

免疫力が常に最良の状態で働くようコントロールする作用が注目されます!
黄耆には骨髄の造血作用を促進し、血液中の白血球の総数とその働きを増強する作用があります。また、赤血球の免疫機能も高めます。

細胞免疫・体液免疫についても、抗体の生成を促進して、その機能を増強させる力を持っています。
さらには、抗ウィルス・抗腫瘍の作用も持っています。

2)血圧を安定させる
黄耆には心臓の冠状動脈を拡げ、心臓や脳への血流量を増やし、しかも心筋での酸素消費量を低下させる作用があります。
さらに抹消血管にも作用し、高めの血圧を安定させる、ゆるやかな降圧作用があることも確認されています。

3)抗老化の働き

黄耆の薬理作用で注目されているのが、老化によりもたらされる各機能の低下を食い止める働きです。疲労、酸素欠乏、低温に耐える力を高め、肝臓や腎臓の病的な障害を軽減させるといった,抗老化作用を持っています。
4)肌の生長を促す

黄耆には、皮膚や粘膜の損傷を修復する働きがあります。そのため、傷口の回復や潰瘍の修復に欠かせない生薬のひとつとなっています。

糖尿病などの慢性病にかかっている人は、免疫力の低下から皮膚が化膿しやすくなります。治癒力が落ちている分、たとえ小さな傷口でも完治までには時間がかかるものですが、この時黄耆を用いると患部組織の修復時間を短くすることができます。
5)、環境への適応力を高める働き

黄耆には「アダプトゲン」(適応原)という、あらゆる環境変化に順応する作用があります。

私たちの身の回りには、様々なストレス要因があります。心身の疲労や暑さ・寒さの気候変化から始まって、大気汚染による酸素不足、紫外線や放射線の照射まで、生体にとってストレスの材料には事欠きません。こうした環境の下で生きていくために、私たちは自身の環境適応能力を強化しなければなりません。

この環境適応能力を高める作用を持った薬物を近年話題になっている「アダプトゲン」といいます。

人は、緊張状態を長く続けると体に大きな負担がかかります。緊張状態が過ぎると元の状態に戻そうとしますが、緊張状態からの負担が続くとやがて色々な病気となってでてきます。
とは言っても、ストレスに強い人もいれば、弱い人もいますね。これは個人差により限界点が違うため。この限界点を高め、ストレスに対する適応力をつける作用を持った薬物が「アダプトゲン」です。