ドイツ薬学視察旅行・その2

今回は、ドイツの薬局について書きたいと思います。

写真はドイツの薬局です。
ドイツの薬局は、通りに面している部分がガラス張りになっており、その部分に薬局の個性があらわれていました。

少し見づらいですが、写真の薬局はたくさんの花の下に花粉症の薬の空箱がかわいくディスプレイされています。
ほかにも、海洋生物がディスプレイされていたり、クモなどの害虫がディスプレイされていたりと様々な薬局がありました。

写真の右上にある赤いAのマークが、ドイツの薬局の統一マークです。Apotheke(薬局)の“A”と、ギリシャ神話にでてくる健康の女神ヒギエイアが聖蛇に餌を与えるときの杯「ヒギエイアの杯」とその「聖蛇」で形作られています。国内の薬局はすべて、どこかにこのマークが掲げられています。

続いて、店内には化粧品やダイエット食品、ハーブ類などが陳列されています。要処方せん薬や、薬局指示薬(日本でいう一般用医薬品)は、カウンターの奥の患者さんからは直接手の届かない所に置かれており、購入する際にカウンターで薬剤師から説明を受けてから、患者さんに渡されます。

希望者には顧客カードというものを発行し、それに毎回薬の情報を記録していました。ドイツでは医薬品のグループごとに保険給付の上限額が決められているため、その上限を超えないかみるために顧客カードが利用されているようです。

日本では私たち薬剤師は、患者さんごとに薬歴を作成し、そこに薬の服用歴だけでなく、体質やアレルギー歴、副作用歴など様々な情報を記録ています。そして新しく処方された薬を問題なく飲んでいただけるかチェックしてから薬をお渡ししています。

ドイツにはこの“薬歴”にあたるものがなく、薬の服用歴やアレルギー歴の確認は医師の仕事、薬の使い方に関しては薬剤師が説明するとともに、患者さん自身が添付文書を読んでから使用する義務がある、ということでした。

ドイツでは、要処方せん薬も全て箱単位で患者さんに渡すため、中の薬が正しく入っているか?破損していないか?の確認ができません。そのため、すべての薬局で1日1品目ずつ包装を開封し、品質を確認することが義務付けられています。ドイツ中の薬局で検査をすることで、医薬品の管理をしているのです。昔、大学で使ったようないろいろな実験器具や試薬が、町なかの薬局に置いてあるのを見て驚きました。

今回は文章が長くなってしまいました。医師のカルテと同じように、薬局には薬歴があるのが当然だと思っていたのですが、国によって少しずつ仕事の内容は違うんですよね。ドイツの薬局について学ぶことで、日本の薬歴に貴重さに気付きました。これからも、患者さんからいただいた情報を無駄にしないようにしよう!と強く思いました。