バックナンバー

あなたの体内の亜鉛、足りていますか?

「体内に亜鉛がある」と聞くとびっくりするかもしれませんが、亜鉛は体の機能の維持や調整に欠かせない微量栄養素、ミネラルの一つです。体内に含まれている量はごくわずかですが、亜鉛がないと働くことができない酵素は200種類以上にも及びます。


細胞の新生や味覚などに関与

亜鉛はさまざまな機能を維持するうえで不可欠です。中でも重要なのは、亜鉛が細胞の生まれ変わりに深く関わっていることです。新しい細胞をつくるには遺伝子の情報を転写したり、たんぱく質を合成したりすることが必要です。この反応を進めるのが、亜鉛を多く含む酵素です。そのため、亜鉛が不足すると、子どもでは発育や身長の伸びが遅いなど、成人では肌のかさつきや爪の変形、脱毛、傷の治りの悪さ、貧血などが見られます。
亜鉛は、味を感じる舌の味蕾(みらい)の細胞をつくる働きもしています。
「味を感じない」という場合は、亜鉛不足の可能性があります。また、味を感じないために何を食べてもおいしくなく、食欲不振や低栄養を招くこともあります。
亜鉛は免疫機能にも関わっているため、不足すると風邪などの感染症にかかりやすくなります。


亜鉛は欠乏しやすいので要注意

体中で大活躍するだけに亜鉛は消費されやすく、欠乏しやすいミネラルです。特に慢性肝炎や糖尿病、腎臓病を患っている人、関節リウマチやパーキンソン病などの薬を飲んでいる人、食べ物の好き嫌いが激しい人、無理なダイエットをしている人などは亜鉛不足に陥りやすいので注意が必要です。亜鉛を多く含む食品は、牡蠣、牛肉、ウナギ、牛レバー、ホタテ貝、カシューナッツ、たらこなどです。
亜鉛の1日の推奨量は男性10mg、女性8mg、妊婦10mg、授乳婦11mgとなっていますが、20歳以降の男女とも推奨量に達していません。その理由として、亜鉛の排泄を促進する食品添加物や亜鉛の少ないパン食が多くなったことなどが指摘されています。


亜鉛が著しく不足すると低亜鉛血症に

血液中の亜鉛濃度が基準値よりも低い場合、低亜鉛血症(亜鉛欠乏症)と診断されます。治療は食事療法が基本となりますが、効果が十分に得られない場合は、薬物療法が検討されます。これまで亜鉛欠乏症の治療薬はなかったのですが、今年3月に医療保険の適応となる薬が登場しました。この薬の服用中には亜鉛サプリメントの服用を止めるなどいくつか注意点があります。服用する際には、医師や薬剤師から説明を受けるようにしましょう。
亜鉛や亜鉛欠乏症について分からないことは、薬剤師に気軽にご相談ください。

<イラストレーション>堺直子

▲ このページのトップへ戻る