まちの薬局つれづれ日記 第5回

2016.04.27 薬剤師コラム


日常の中で感じるあんなこと、こんなこと。class A の仲間でもある小林薬局(鳥取県)薬剤師の小林康治さんが、薬剤師ならではの視点でお届けします。

ありがとうのあふれる薬局に

突然ですが、皆さんにも好きな言葉があると思います。私が好きな言葉は「ありがとう」です。そして私は薬剤師の仕事が大好きです。今回からコラムを担当させてくれてありがとう。このコラムを読んでくれてありがとう。薬剤師は、日々たくさんの方に「ありがとう」と言ってもらえる職業だと思っています。幸せですね、こんなことが言えて。両親に大学まで卒業させてくれて、ありがとう。自分からも何かあれば「ありがとう」と連発するようにしています。薬局で皆さんと向き合って仕事を続けている中で、ずっとこの言葉に支えられています。

しかし、15年間薬局で仕事をしていく中で皆さんから声をかけてもらえる、この「ありがとう」の言葉の意味は自分の中では大きく変化して来ています。

薬局は、日本標準産業分類でいくと小売業に入ります。なんで?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、医療、福祉分類に薬局は入っておりません。医療法では、皆さんもご存じの通り、医療提供施設として薬局が含まれております(平成18年医療法改正)。難しい分類は抜きにして、私の持論として薬局は物と情報を通じて、「ありがとう」をいただく小売業であり医療提供施設だと思っています。

振り返ってみると新米薬剤師として仕事をはじめた頃は、「薬を病院の中の待ち時間よりも早くてありがとう」が主だったなと思います。薬という物への対応が中心になっていたのですね。当時仕事をしていた薬局は、大きな病院の前にあるいわゆる門前薬局でした。病院の院外処方率も40%ほどとまだ院内でお薬をもらう人の方が多かった時期でした。

患者さんのニーズはスピードです。どうやったら事務スタッフ、複数の薬剤師が連携してスムーズに仕事が進んでいくのかを四六時中考えていました。しかし、処方内容に問い合わせが発生した時は薬局内だけの連携ではどうしようもありません。疑義照会が入ると仕事が停滞することは皆さんも経験があると思います。病院への疑義照会は、外来に直接電話が繋がるものの、看護師さんが窓口になり医師に伝達してくれる方式でした。でも、なかなかスムーズにいかないのですよね。この問題解決の糸口は外来の看護師さんとお友達になること(不純な動機ではありませんよ!!)だと気がつきました。そこで薬局を飛び出し、お昼は病院の食堂を利用して顔を合わせ挨拶をする。薬局が一段落をした午後になると病院の外来巡りをして、ありがとうの挨拶回りをしました。その時はMRの経験がとても役立ったと思います。そうやって、顔が見える関係になってくると次第に問い合わせは阿吽の呼吸で解決するようになりました。「顔を合わせてありがとう」を伝えることの大切さを感じる一面でした。ありがとうは多職種連携にも応用出来るのです(笑)。

スピード命のありがとうから今は変化して、薬を安心して飲めるありがとう、健康の相談へのありがとう、沢山のありがとうが薬局にはあふれています。自分からもスタッフへ、皆さんへ「ありがとう」を連発しながら、沢山のありがとうを産んでいきたいと思うのです。最後まで読んでいただき、ありがとう。

text by 小林康治(こばやし・こうじ)

1974年兵庫県生まれ。北陸大学大学院を修了後、MRを経て薬局業界へ。大手薬局チェーンで楽しく仕事をしていたところ、125年続く薬局の6代目として新天地鳥取で奮闘中。