まちの薬局つれづれ日記 第6回

2016.07.27 薬剤師コラム


日常の中で感じるあんなこと、こんなこと。class A の仲間でもある小林薬局(鳥取県)薬剤師の小林康治さんが、薬剤師ならではの視点でお届けします。

まずは地域で顔の見える人に

「かかりつけ」。今回の診療報酬改定で目玉となった言葉かな、と感じながら日々の仕事をしています(4月にこれを書いています)。世間ではどうなんだろう? と、子供の辞書を拝借して「かかりつけ」と調べてみました。【かかりつけ[掛かり付け]、いつもの医者に診察してもらうこと(例文:かかりつけの医者)】と書いてあります。

なにくそと、意地になってネット上の辞書ページを調べていくと一部の辞書になんとか「かかりつけ薬局」と出てくるものがありました。かかりつけ薬剤師となっているものはありません。まあ、かかりつけ病院とかかかりつけクリニックなんて呼び名も聞いたことはないので、かかりつけと言えば「お医者さん」を連想するのが普通ですね。

そんな世間の常識を打ち破るのが今回の改定だと考えています。皆さんはどう感じているでしょうか? 契約から始まり、勤務表や24時間対応など今までと同じ部分もありながらルールが重たく感じる部分があるかなと思います。しかし第一歩を踏み出さなければなりません。そこでまずは顔の見える薬剤師を目指してはどうだろうと思っています。この言葉は父からずっと聞かされている言葉です。地域の薬剤師として公民館等で薬にまつわる講演会活動、学校薬剤師として薬物乱用防止教室など……積極的に地域と関わり「顔の見える薬剤師活動」を実践している姿も見てきました。

また、商店街の活動や町のお祭りへの参加も続けています。患者さまでもあり、地元で車のディーラー会社の会長さんからの印象深い話を紹介したいと思います。「うちの会社では残業をできるだけ減らして社員の多くは定時に帰宅できるようにする。そして社員が家族と過ごす時間を大切にすること、地域活動に積極的に参加し実践するように言っている」とのことでした。地域活動をするということは、実は仕事にもつながる良い効果があるというのです。市町村のお祭りやイベントなどに参加していると、もちろんその地域の方と仲良くなります。そしてちょっとした会話から少しずつあの人は車屋さんだと認知されていくそうです。そういった関係を築いていると、いざ車のトラブルの時にはその人の顔がふっと浮かんで、点検や修理の依頼に繋がるというのです……。

かかりつけ薬剤師も同じだなと。いつもは困っていなくて、何かが起きた時、ふと顔を思い出してもらえる「ゆるい繋がり」こそ、大切なのだと思います。PTAや子ども会、お祭りの世話役でもいいし、いつもの飲み屋でもいいと思います。地域で薬剤師として仕事をしようと考えると急に堅苦しく難しく感じるかもしれませんが、「町の社交場」でのゆるい繋がりから薬剤師であることが少しずつ認知されていくことが、いずれ「かかりつけ」の関係になっていけるのではないかなと思っています。

地域で顔の見える「人」になって、最後は今回いうところの「かかりつけ薬剤師」と自然になっていくのかなと思っています。これからの我々の働きで辞書にも「かかりつけ薬剤師」と載るようになると考えると、わくわくしますね。(これが掲載される7月、変化はあるのでしょうか)

text by 小林康治(こばやし・こうじ)

1974年兵庫県生まれ。北陸大学大学院を修了後、MRを経て薬局業界へ。大手薬局チェーンで楽しく仕事をしていたところ、125年続く薬局の6代目として新天地鳥取で奮闘中。