まちの薬局つれづれ日記 第7回

2016.10.26 薬剤師コラム


日常の中で感じるあんなこと、こんなこと。class A の仲間でもある小林薬局(鳥取県)薬剤師の小林康治さんが、薬剤師ならではの視点でお届けします。

笑いの心がけ

「楽しい笑いは副作用の無い薬」。この言葉は「笑い療法士」の阪口周二先生(JA尾道総合病院精神科医)から聞いた言葉です。《怒りの感情はほとんどの動物が持っているが、笑いの感情は人間しか持ってない》そうです。無表情な人に何を感じるか? 笑っている人に何を感じるか? 笑いは相手に好意を伝えるコミュニケーションのひとつです。

デール・カーネギーの著書『人を動かす』にも人を笑顔にすることがいかに重要かを説いた項目がいくつか出てきます。一例として「人に好かれる六原則」を紹介します。(1)誠実な関心を寄せる (2)笑顔を忘れない (3)名前を覚える (4)聞き手にまわる (5)関心のありかを見抜く (6)心から褒める

これらの原則を薬局でまじめに行うと、薬局に患者(お客)さんが入ってくる→「◯◯さん! こんにちは」と笑顔で対応→薬の説明をしてこちらに引き込みたいところをぐっと我慢して、まずは診察の様子や患者さんの話を聞く。検査結果などその方が気になっている部分を見極めて、改善している部分があれば十分に褒める…ということになるのかなと思います。
分かっていてもできないこともあり、私もしょっちゅう反省をしています。おまけにいつでもこの原則を展開できるかというとそうではありません。一番多い場面は、病院で待たされたあげくに薬局でも待たされた時。もう患者さんはぐったり…。話などいいから早く帰りたいオーラを放っています。この「どんより感」真っ只中に、好かれたいオーラをまとって毎回切り込んでいけるほど私のハートは強くありません。

このどんより感をどうしたらよいだろうかとずっと考えていました。そんな時に、処方が無い時でもふらっと寄ってもらえるように薬局の一部をカフェスペースにした class A 薬局の仲間の取り組みを知りました。コーヒーとお菓子を楽しみながら、自由に手にとってもらえる「リラックスできる本」を置いているのです。
待合をリラックスできる場所に変えられる理想的な取り組みだな…(にやり)。早速うちの薬局でもお勧めの本を教えてもらって揃え始めました。どうしても生じてしまう待ち時間にこれらの本を手にとってもらうと、効果はテキ面! 本を読みながらニコニコしている方がいると、待合全体の雰囲気までも変わります。スタッフもニンマリ。これでのんびり仕事ができるわ! というのは言い過ぎですが、よい意味で人の手を借りずに、患者さんには一旦前後のつながりをリセットしてもらうことができました。後日、この本を売って欲しいという方も現れました。その時は丁重にお断りをして、新しく買った本を実費にて次の来局時にお渡ししました。薬局と患者さんの関係を超えた新しいコミュニケーションが生まれたようです。

ちなみに当社では社員が誕生日を迎えると、社長が直接ホールケーキを手渡しにやって来るイベント(儀式?)があります。午前中の現場がめちゃくちゃ忙しい時間帯になぜ今?! という登場のシーンもありますが(笑)、それにもめげない社長の笑顔により、薬局全体がやはり笑顔になり和んだ空気に包まれます。
患者さんのためだけではなく、自分たちのための笑顔づくりも意識して仕事ができたら、良い成果に繋がりそうな気がしています。皆さんの薬局ではどんな笑いの心がけが行われていますか?

text by 小林康治(こばやし・こうじ)

1974年兵庫県生まれ。北陸大学大学院を修了後、MRを経て薬局業界へ。大手薬局チェーンで楽しく仕事をしていたところ、125年続く薬局の6代目として新天地鳥取で奮闘中。