まちの薬局つれづれ日記 第11回

2017.10.25 薬剤師コラム


日常の中で感じるあんなこと、こんなこと。
class A 薬局の仲間でもある、はるかぜ薬局(大阪市)薬剤師の山中智香さんがお届けします。

雑談のススメ

薬局に来ると、手工芸の作品を「薬局に飾って」とおっしゃる方。「初孫の写真見て~」と嬉しそうにスマホを向ける奥さま。マラソンの話やサッカーの話、旅行に行ったことや美味しいレストランの紹介など世間話や趣味の話を患者さんとたくさんします。

患者さんにとって、本当のこと、本音の悩み、不安等を語るときとても大切なことだと感じていることがあります。

「心理的安全性」(psychological safety)

「チームのメンバーの一人ひとりがそのチームに対して、気兼ねなく発言でき、本来の自分をさらけ出せる、と感じられるような場の状態や雰囲気」のことです。もともとは組織のチーム作りに使われている心理学用語で、チームが上手く機能するための重要な要因であることが、さまざまな研究から証明されています。
「心理的安全性」を構築するのに必要な要素の一つに「雑談があること」という項目があるそうです。
私の薬局はスタッフ同士、お互いのことをよく知りあっているメンバーだと思っています。趣味や子どものこと、休日のこと、時には昨日の晩御飯まで。手前味噌ですがチーム力は抜群だと思っています。事務・薬剤師の連携、助け合い、相談など活発に行われています。
大きく言えば、町の薬局の患者さん自身も「病気・健康」ということに取り組むチームの一員とも言えますね。
糖尿なのに食べてしまっていること、お薬は実はお昼は飲めていないこと、正直に話してくださいます。薬局がなんでも話しやすい場・安全な場と感じてくれているのは嬉しいことです。それだけでなく、この「雑談」に患者さん自身の生活スタイルや食生活を把握するのにとてもヒントになることがたくさんたくさん隠れています。

高血圧で早朝に外で運動する人は気温差に気を付けて。
飛行機でよく旅行する人は足をぐるぐるしてくださいね。
中性脂肪が高い人でグルメな人への注意点。
ゴルフに行く中高年は熱中症予防のための経口補水液。

趣味から服薬相談、健康相談、栄養相談に繋がることはたくさんあります。
そして、もう一つ、「心理的安全性」は薬局組織内で大切な側面があります。

2003年2月、スペースシャトル「コロンビア号」の事故があり、尊い7名の命が犠牲になりました。事故調査チームは技術的な原因以外に組織的な問題も原因の一つだと結論を出しました。懸念がありながら、事前に十分に話し合える組織風土ではなかったということです。
つまり「心理的安全性」がなかったということです。
これは薬局における「調剤過誤」や「調剤ミス」のリスクマネジメントを考えるとき、組織内の風土がとても大切な要因の一つになるということです。
なので「雑談のススメ」
患者さんとも、薬局スタッフ間とも。

当薬局は小児科の患者さんが多いので、水薬にはキャラクターシールを使っています。喜ぶと思って貼っているプリキュアはもう以前のバージョンらしいです……こんな雑談情報も子どもたちとの関係構築には必要ですね。勉強しなくちゃ!と思っていましたが、「え~知らない~教えてね」と子どもたちに語り掛けると饒舌に喜んで教えてくれます。その後、「頑張ってお薬飲んでね!」と会話が続きます。

薬局に「無駄な会話」はないですね。

text by 山中智香(やまなか・ちか)

神戸薬科大学卒業後、製薬会社、調剤薬局勤務を経て、現在、大阪の class A 薬局はるかぜ薬局で薬剤師として勤務しながら、ウィズ・グロー代表として医療現場や福祉施設・企業・公的機関などで研修を行う。