まちの薬局つれづれ日記 第12回

2018.01.24 薬剤師コラム


日常の中で感じるあんなこと、こんなこと。
class A 薬局の仲間でもある、はるかぜ薬局(大阪市)薬剤師の山中智香さんがお届けします。

薬局という器

本年度担当させていただきました、「まちの薬局つれづれ日記」も、今回が最終回となりました。つたない文章をお読みいただき、いつもありがとうございます。最終回は小さい時の薬局思い出話から。

私は大阪の商店街で育ちました。小学校からの帰り道、自分の家にたどり着くまで、さまざまな商店の前を通り、「おかえり~」「学校楽しい?」「今日は雨やね~」と商店のおばちゃん、おじちゃんから声を掛けられ、時には「暑いから、飲んでいき」とジュースを貰ったり。八百屋のおじさんはおつかいに行き千円渡すとベタに「800万円のおつり!」と言うような、アットホームな下町の商店街でした。
そんな中、一軒の薬局がありました。そこには「薬局のおじさん」がいて、風邪気味だったり、のどが痛かったりすると、そのおじさんのところへ行き、相談しお薬を選んでもらっていました。小さいながら、病院とは違う場所で、調子が悪い時に行くところ、という認識でした。
商店街の人みんながその薬局に行っていましたのでそこへ行くと、「あらま、どうしたの?」とほかのお客さんとも出会う場所でした。大学の試験勉強の時や、仕事をし始めて疲れている時は「ドリンク剤」を選んでくれて、商品の選択はお任せでした。店をひょいと覗き、そのおじさんがいない時は一度家に帰り再度出直すという、まさに今のかかりつけ薬局のような感じでした。
地方に移り住み、再び実家近くに戻ってくると、もうその薬局はなくなっていました。ちょっと寂しい気持ちでした。

時は流れ数年前、ある大手ドラッグストアが商店街にできました。開店初日は近所の知り合いがたくさんいて、人込みの中から「いや~久しぶり!」「わ~~よかった!」「いやぁ~もういなくなったと思ってたわ」「いてくれると安心だわ~」と会話が聞こえてきます。
なんだろう?と見ると。なんと!その昔の薬局のおじさんがレジにいるのです。
「第2の人生、就職したんですわ~」とニコニコ。なんだかとても懐かしく嬉しい気持ちになりました。レジに並び近づき、ふと名札を見ると。「登録販売士」と記載。
ええ~~~~!!
てっきり何十年間も薬剤師と思い込んでいたのが、違っていたのです。衝撃!と同時に、すごい!と思いました。薬剤師ではなくとも、あれだけ町の人々の相談を受け、長年信頼されていたのです。

「薬局」=「薬剤師」ではありません。顧客にとってはみんなが「薬局の人」です。地域における多職種連携が当たり前になっていますが、薬局の中でこそ、ある意味多職種連携なのではないでしょうか?
地域の健康ステーションとして、薬剤師、事務さん、栄養士さんの職域はどんどん広がってきています。それぞれの分野でそれぞれのプロとしてチームになり、「健康」を地域に発信することは住民自体のヘルスリテラシーを上げ、町の薬局、そこにいるスタッフが地域にとってなくてはならない信頼される存在になるのだと思います。

「信頼」とは他人が評価しますが、作り上げるのは自分たち。

私たちは薬局という「器」が既にあるわけです。その「器」を使って、スタッフみんながさまざまなことができるチャンスがあると思います。
10年後の未来の薬局はどのようになっているでしょうか。どんどん多職種が集まるキーステーションになり、ひょっとしたら地域の住民も一スタッフとして役割を持つことで社会に貢献できるwin-winの形態になっているかもしれませんね。

次回から薬正堂(沖縄県)の佐藤雅美さんがお届けします。

text by 山中智香(やまなか・ちか)

神戸薬科大学卒業後、製薬会社、調剤薬局勤務を経て、現在、大阪の class A 薬局はるかぜ薬局で薬剤師として勤務しながら、ウィズ・グロー代表として医療現場や福祉施設・企業・公的機関などで研修を行う。