まちの薬局つれづれ日記 第13回

2018.04.25 薬剤師コラム


日常の中で感じるあんなこと、こんなこと。
class A 薬局の仲間で、薬正堂(沖縄県)薬剤師の佐藤雅美さんがお届けします。

命薬(ぬちぐすい)

はじめまして。今回から、コラムを担当します佐藤雅美と申します。沖縄県で保険薬局の経営に携わっております。
最近は薬剤師として店舗で患者さまやお客さまと直接お話しする機会は減りましたが、これまでに出会ったたくさんの患者さま・お客さまとの関わりのなかで印象に残る場面や、沖縄の薬局ならではのエピソードをご紹介できればと思います。業務の合間に読んでいただき「ホッ」とし、時には「クスッ」と笑っていただければ嬉しいです。

さて、薬のはなし。沖縄には「命薬」(ぬちぐすい)という言葉があります。「ぬちぐすい」とは沖縄の方言で、直訳すると「ぬち」は「命」、「ぐすい」は「薬」という意味になります。美味しい料理を食べたり、心地よくリラックスしたり、心躍るような楽しい時間を過ごしたり……心が癒され元気が出るような出来事に出合った時、沖縄の人たちが昔から口にしていた言葉です。
時々、薬局で患者さまから「あんたに会ったら薬は飲まなくても元気になったさ~」と声を掛けられるスタッフがいます。受付や会計にいる(ほとんどは若くて可愛い)スタッフです。
「こんにちは」「お大事に」のお声掛けとセットで笑顔という最高の命薬が心に届き癒しに繋がっているのでしょう。その可愛さに嫉妬しながら、
「薬剤師ならではの『命薬』って何だろう?」と考えることがあります。薬の説明をすること? 副作用の確認すること? サプリメントを勧めること?

ある時、下痢症状で受診した小児患者のお母さまと、こんなやり取りがありました。
「初めての子供で、こんな時何を食べさせれば良いのか分からないです」
「ウンチの状態と同じものをあげてください」(言葉足らずですね)
「??」(目をパチクリ!)
「ウンチが水様の時には冷た過ぎない水分を。ウンチが柔らかくなってきたら柔らかい食べ物を。形が出てきたら形のあるものを」
それまで不安そうにしていたお母さんの顔がみるみる緩み、「へ~!!分かりました!!やってみます」と何かを大発見をしたかのような、また、ホッとしたような表情に。
このやり取り、たぶん薬の説明よりも?お母さんに喜ばれたのでありました。

患者さまやお客さまが来局に至るまで(心理的背景も含めて)どのような状況であったかを想像しながらお迎えし、その言動や表情から、帰宅後に困るであろうこと・不安になるかもしれないことを察知して、それを取り除く応対(傾聴や表情も含め)・アドバイスをして送り出してあげられた時。そんな時が、薬剤師が命薬になれるときだと思います。
皆さんは、どんなことをとおして患者さまやお客さまの命薬になりますか?

このコラムが皆さんの命薬になれるよう願いながら……。
これから一年間よろしくお願い致します。

text by 佐藤雅美(さとう・まさみ)

沖縄県宮古島出身。大学卒業後、病院薬剤師勤務を経て薬局薬剤師へ。「観・食・感」を人生のテーマに掲げて、日々をひっそり・こっそり愉しみ中。