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医療用の「麻薬」をご存知ですか?

麻薬というと、“恐い”“危険”というイメージがあるかもしれませんが、「医療用麻薬」と呼ばれるものがあります。これは覚せい剤や最近問題となっている危険ドラッグなどの不正麻薬とは全くの別物で、医師の指示のもと適正に使用すれば非常に有用な薬剤です。


医療用麻薬は、痛みに対して大きな効果があります

医療用麻薬とは、麻薬の中でも国の審査を受けて有効性や安全性が確認された医薬品を指します。痛みを鎮めるのに大きな効果があることから、主にがんの疼痛(とうつう)治療に用いられます。
麻薬というと、「一度使うと依存が起きてやめられなくなってしまうのではないか」「使い続けるとだんだん効かなくなるのではないか」「体が弱って寿命が縮むのではないか」などと心配するかもしれませんが、医療用麻薬に関しては正しく使っている限り、そのようなことはありません。
むしろ痛みを和らげることで、ぐっすり眠れたり、食欲が増したり、心が落ち着くなど、さまざまな効果をもたらします。最近では、早い時期から医療用麻薬などで痛みを取ったほうが寿命が延びるという報告が世界中から多く出されており、WHO(世界保健機関)ではがんと診断されたそのときから、がん治療と並行して必要に応じた痛みの治療を行うように推奨しています。


種類も剤形もさまざま

医療用麻薬には複数の種類があり、剤形も粉末、錠剤、内服液剤、貼付剤、坐剤、注射剤などさまざまなタイプが揃っています。効き方も、すぐに効くけれど持続時間が3~5時間程度のもの、効くのはゆっくりだけれども10時間以上効果が続くものなどいろいろです。その人の痛みの状況に応じて、最適なものが選択されます。
主な副作用として便秘や吐き気、眠気などがありますが、下剤や制吐剤の使用、他の医療用麻薬への変更などでコントロールすることが可能になっています。また、医療用麻薬が胃腸の粘膜を傷つけたり(胃潰瘍)、腎臓や肝臓などの臓器の機能を低下させることはほとんどありません。
日本では医療用麻薬に対する誤解が強いのか、欧米に比べ使用量は極めて低いのが現状です。医療用麻薬について正しく理解し、強い痛みがあるときは我慢せずに医師や薬剤師に相談しましょう。
なお、現在問題となっている危険ドラッグやコカインなどの不正麻薬は医療用麻薬とは全く異なり、心身に大きなダメージを与えます。中には生命に危険を及ぼすものもあるので、絶対に使用してはいけません。

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