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ゆきさん薬局

2019/06/22

ペニシリン系の服用で、ピルでの避妊失敗例が

~扁桃腺炎で抗生物質~

3日程前に来られた患者さん、鈴木さんがマスクをして入って来られました。

「こんにちは」と真優ちゃんの声が鳴り響きます。

鈴木さんも、つらそうにしていたのに、少しほほを緩めながら「こんにちは」と言って入ってこられました。

真優ちゃん
「良くなっていないようですね?」

鈴木さん
「そうなの。先生が薬を変えると言っていたわ」

真優ちゃん、処方箋を預かり、薬歴をパソコンで確認しました。
「あ、本当ですね。抗生物質が変わりました」

鈴木さん
「風邪には抗生物質を使わないと聞いたけど、また抗生物質が出るのですか?」

真優ちゃん
「鈴木さん、具体的に症状はどんな症状が出ていますか?」

鈴木さん
「喉だけが、食べ物が飲みこめないほど痛いんです」

真優ちゃん
「喉の病気には色々ありますが、原因によって治療が異なります。いわゆる風邪と言われるものは、ウイルスによるものが多いのですが、細菌によるものもあります」

鈴木さん
「どうやって見分けるのですか?」

真優ちゃん
「詳しくは細菌を見極める検査をもあるのですが、それがわかるころには病気が進んでしまうので、医師の経験値で判断していることも多いです」

鈴木さん
「経験値て、何を見ているの?」

真優ちゃん
「ウイルスの場合は、喉の痛みだけでなく、咳や鼻水などの症状が一緒に起こることが多いんです。一方、喉が痛いなど症状が1つの場合には、細菌性の事場合が多いんです」

鈴木さん
「私の場合は、喉だけが痛いので細菌性の可能性が高いんですね」

真優ちゃん
「そうなんです。特に鈴木さんのおかかりの耳鼻科では内視鏡で見ているので、喉の腫れ具合、膿があるかなどがわかるので、分かりやすいんだと思います」

鈴木さん
「それでは、私はやはり抗生物質を飲んだ方が良いのですね」

真優ちゃん
「はい。それではお薬を準備しますね」と笑顔で返事をしました。


~抗生物質がなぜ変わったの?~

ゆきさんは、真優ちゃんのやり取りを聞きながら、鈴木さんの薬歴を見ていました。

ゆきさん
「真優ちゃん、薬の準備が出来たら僕がお薬を出すよ」

真優ちゃん
「はい、わかりました」と答えて、薬を準備してゆきさんにお願いをしました。

ゆきさん
「鈴木さん、お薬のご用意が出来ました」

鈴木さん
「はい、お願いします」と言ってゆきさんのいるカウンターの前に座りました。

ゆきさん
「前回の薬はちょうど終わっていますね」

鈴木さん
「今朝で、飲み終わりました」

ゆきさん
「先ほど、うちの石原が説明した通り、抗生物質が出ています。前回とは違う抗生物質ですが、今まで同様、毎食後服用になります。前回の薬を今朝まで飲んでいたので、昼食後から開始してください」

鈴木さん
「ところで、何で抗生物質が変わったんですか?」

ゆきさん
「抗生物質を変更するには、大きく二つの理由があります。今回は、症状があまり改善していないのですよね」

鈴木さん
「えー」

ゆきさん
「症状の改善が見られれば、もう少し同じ薬を利用して様子を見ましょうとなりますが、改善していないので変更したのだと思います」

鈴木さん
「それは理解できるんですが、他に理由があるんですか?」

ゆきさん
「鈴木さん、『耐性』て聞いたことありますか?」

鈴木さん
「はい、何となく」

ゆきさん
「耐性とは、病原菌が薬に慣れてしまって効かなくなってしまうことです。抗生物質は同じものをずっと利用していると、効かなくなってしまうんです。だから、特殊な場合を除いて長く利用しないんです」


~ペニシリン系で避妊に失敗例が!~

ゆきさん、薬歴を見返しながら質問しました
「鈴木さん、そういえば低用量ピルを飲まれていますね」

鈴木さん
「はい。飲み合わせでも悪いんですか?」

ゆきさん
「別に飲み合わせは問題ないですよ」

鈴木さん
「じゃあ、一緒に飲んでいて問題ないわね」

ゆきさん、「飲み合わせは問題ないですよ」と答えてから、話しにくそうに話し始めました。
「鈴木さん、該当しないかもしれないけど、知識だけ入れておいてください。ピルを避妊目的で飲んでいるときに、ペニシリン系の抗生物質を飲むと、避妊に失敗した例があるんです。原因は分からないし、一緒に飲んで何か害があったということもありません。ただし、そういう副作用報告があるんです。副作用は1件でもあれば、副作用として報告されます」

鈴木さん
「えっ、そうなんですね。これを飲んでいる間は、避妊に気を付けなければいけないのですね」

ゆきさん
「はい。こういうことは男の私からは言いにくいんですけど、知っていると知っていないとでは大違いなので、一応お話しさせていただきました」

鈴木さん、嬉しそうに答えました。
「どうもありがとう。ゆきさんから薬をもらうと色々教えてもらえて助かるわ」

ゆきさん
「患者さんの笑顔が、僕への一番のご褒美ですから。どうもありがとうございました」

鈴木さんが薬局を後にすると、真優ちゃんがゆきさんに話しかけました。
「ゆき先生が自分で出すと話されていたから、何かと思っていましたが、ペニシリン系で避妊に失敗なんてことがあるんですね。今まで知りませんでした」

ゆきさん
「僕も最近、薬剤師仲間との飲み会で初めて知ったんだ。色んな事があるんだね」

真優ちゃん
「ゆき先生は、飲み会も勉強の場なんですね」

ゆきさん
「あーそうだよ。今日もいっぱい飲まなきゃ」

真優ちゃん
「ゆき先生、患者さんにならないでくださいよ」

「ここに良い薬がたくさんあるから大丈夫だよ」と笑って話すゆきさんでした。

登場人物
★鈴木 優衣
鈴木 優衣(すずき ゆい) 29歳
扁桃腺が腫れることが多い
ピルを常用している

※ゆきさん薬局の物語に登場する人物は、フィクションです

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