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ゆきさん薬局

2020/01/20

ヘルパーさんを元気づけます

~いつも忙しそうにしているヘルパーさんがお話しを始める~

いつも忙しそうにしていて薬だけを取りに来るヘルパーの福田さん。
今日は薬局が混んでいなかったので、ゆっくりと話しかけてみました。

ゆきさん
「福田さん、いつもお忙しそうにして、薬だけ取りに来るけれども、寺田さんはどんな患者さんなの?」

福田さん
「心臓が悪いと聞いているけど、見た目では全然わからないわ」

ゆきさん
「寺田さんが利用しているのは、狭心症の薬です。この病気は、発作で突然死することもあるので注意が必要です。それで、寺田さんは普通に歩かれているのですか」

福田さん
「もう80歳だから、脚力も弱ってあまり歩けないけど、元気だけはあるのよね」

ゆきさん
「元気でも、心臓病の薬が出ているから、いつ何が起きるかわからないから心配ですね」

福田さん
「そうなのよ、お医者さんからもあまり急激に動くと危ないから、気を付けてと言われているの」

ゆきさん
「歩けなくても元気だと、これくらい大丈夫と思って無理するから危険ですよね」

福田さん
「そうなの。元気でせっかちだから、見ていても、こっちがはらはらしちゃう」

ゆきさん
「介護は難しいですよね。お手伝いはしてあげなければいけないけど、あまり手伝い過ぎても本人のためによくありませんからね」

福田さん
「本当に難しいわ。私なりに色々考えて行動しているけど、本当にやっていることが正しいのか、時々考えちゃう」

ゆきさん
「今はチームで介護をするんですよ。悩んでいることは自分一人で背負わないで、こんなことでも聞いていいのと思うことでも、私たち薬剤師にも相談してください」


心臓病とお風呂

ゆきさん
「ところで寺田さんは、お風呂はどのようにしているのですか?」

福田さん
「そうなの。お風呂介助も始めた方が良いのかなと思っています」

ゆきさん
「ということは、ご自身で入られているのですね」

福田さん
「そう、それこそどこまで介助すべきか悩んでいて、ご自身で入ってもらうようにしています」

ゆきさん
「それは危険だなあ。入浴事故は相当な数いると言われていますよ」

福田さん
「何となく聞いたことはあるけど、やっぱりそうなんだ。具体的にはどんなことが危ないの」

ゆきさん
「入浴死の過半数は、心筋梗塞で血圧上昇による血管のストレスや、体温上昇により血液が固まりやすくなり、血栓が生じることが原因と言われています」

福田さん
「そうなんだ。転倒の危険だけじゃないのね」

ゆきさん
「もちろん、寺田さんは足が悪いので転倒にも注意が必要です。それと共に、突然死にも注意しないといけません。特にこれからの季節、寒くなっていくから、お風呂に入るときは脱衣室とお風呂の寒暖の差に気を付けて、体温を徐々に慣らして入っていかないといけませんね」

福田さん
「そうよね。寺田さん、脚が悪いから何かあっても動けないから心配よね」

ゆきさん
「お風呂介助は、積極的に提案した方が良いと思いますよ」


~接し方がわからなくなってきて~

福田さん、吹っ切れた顔になって相談を始めました。
「お言葉に甘えて相談しても良いかしら」

ゆきさん
「もちろん、どうぞ」

福田さん
「寺田さん、昔お医者さんだったんですって。病院の勤務医で奥さんとはとても仲が良かったみたい。奥さんが亡くなってからすごく元気がなくなって意欲がないのよね」

ゆきさん
「それはお気の毒ですね」

福田さん
「食が細くなって、体重も減っているの」

ゆきさん
「奥さんはいつなくなったんですか?」

福田さん
「2年ほど前です。最近は病院の予約を忘れるほど認知症も始まってる気がします」

ゆきさん
「奥さんが亡くなったショックが2年も続いているなら、時間が解決しないということですね」

福田さん
「そういうことよね」

ゆきさん
「メンタル面のサポートが大変必要ですね。かと言って、メンタルクリニックにも積極的には行かないでしょうね」

福田さん
「そうなのよ。どう接してよいかわからなくなって」

ゆきさん
「寺田さん、きっと泣ききっていないんじゃないかな」

福田さんが、質問しました。
「そう。どうすれば良いの?」

ゆきさん
「そこまで、寺田さんのことを理解しているんだから、福田さんが、一緒に泣いてあげてもよいんじゃない」

福田さん、少し涙を浮かべながら絞り出すように声を出しました。
「私で良いの?」

ゆきさん
「全然、良いですよ。寺田さん、福田さんがヘルパーで良かったと思いますよ!」

福田さん泣いているのに、うれしそうな顔でゆきさんに「ありがとう」と言って、帰っていきました。

登場人物
★福田 聡子
福田 聡子(ふくだ さとこ) 48歳
寺田さんを担当するヘルパーさん
まじめな性格で、患者さん本位がゆえに悩むことも多い

★寺田 文雄
寺田 文雄(てらだ ふみお)80歳
狭心症で一人暮らし
脚が悪くてほとんど外出しない

※ゆきさん薬局の物語に登場する人物は、フィクションです

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