外用薬の正しい使い方~塗り薬と貼り薬~

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「外用薬」とは、口から飲む内用薬(内服薬)と注射薬以外の薬のことです。軟膏やクリームなどの塗り薬、点眼薬、坐薬、貼り薬などさまざまな種類がありますが、ここでは使用頻度が多い塗り薬と貼り薬の正しい使い方を紹介します。

塗り薬は塗る量や回数に気をつけて

塗り薬は皮膚の表面に塗り、化膿や湿疹、痛みなどを抑える薬です。

まず、手をよく洗ってから塗り始めます。塗る量の目安となるのが、最近よく言われる「FTU(フィンガーチップユニット)」です。25gや50gのチューブから人指し指の第一関節まで塗り薬を絞り出した量が1FTUで、約0.5gに相当します。5gのチューブの場合は、人指し指の第一関節まで2回絞り出した量が約0.5gに相当します。ただし、塗る量が制限されている薬もあるので、医師や薬剤師に確認してから塗りましょう。

塗る際には、強くこすらずに丁寧に伸ばすのが基本です。塗る回数は、1日3回、2日に1回、夜だけといったように、薬によって異なります。必ず医師や薬剤師の指示に従いましょう。例えば、1日3回塗らなければならない薬を1回しか塗らなかったりすると、十分な効果が得られない可能性があります。逆に、5回、6回など多く塗ると、副作用が出ることがあります。

貼り薬による光線過敏症に注意

貼り薬の代表が痛みや炎症などを改善する湿布薬です。貼るときは汗や水を拭き取ってから、肌に密着させて、貼りたい部分を覆うように伸ばします。毎回、同じ場所に貼ると肌がかぶれることがあるので、貼る位置を少しずらすようにしましょう。また、長時間にわたる使用もかぶれの原因になります。通常、1日1~2回貼りかえます。

湿布薬に含まれる成分に紫外線が当たることで光線過敏症となり、かぶれが生じることがあります。貼っている間だけでなく、はがした後も皮膚にこの成分が残っているとかぶれが生じます。光線過敏症を防ぐには、衣服や帽子、手袋などで貼付部位を覆うことが有効です。

かぶれやかゆみ、発疹などが治まらないときは、かかりつけ医や皮膚科に相談してください。

全身に作用する貼り薬はそれぞれ適した場所に貼る

貼り薬の中には、貼ったところだけの痛みや炎症に作用する湿布薬とは異なり、薬効成分が皮膚や粘膜から吸収されて、血液によって全身に運ばれて作用する薬があります。例えば心臓の血管を広げるために心臓病に用いられる薬(フランドルテープなど)や、気道を広げて呼吸を楽にするために用いる薬(ホクナリンテープなど)、アルツハイマー型認知症の進行抑制効果が期待できる薬(イクセロンパッチなど)などです。

これらは胸や上腕部、背中などに貼りますが、更年期障害などに用いられる女性ホルモン補充薬(エストラーナテープなど)のように下腹部や臀部に貼るものもあります。貼る部位や貼り替え時期などは必ず医師や薬剤師に確認しましょう。

なお、塗り薬や貼り薬についてわからないことがあるときは薬剤師に気軽にご相談ください。
イラストレーション:堺直子