一言で言うと


在宅医療を通じて、誰もが住み慣れた地域でのその人らしい暮らしを支援しております

ユニバーサルグループ株式会社 在宅看取り事業部 薬剤師の長瀬です。

もう10年ほど前になりますが、異業種交流会で声をかけられて「ソーシャルビジネストライアル東海・北陸リーグ」に応募しました。
https://blog.canpan.info/sbleague-th/archive/6


ちょうどその頃、薬局の患者様からよく「デイサービスはお遊戯をさせられるから行きたくないんだよね」というご相談を受けることがありました。そこで、お遊戯をさせられるのではなく、自立を促し、地域のコミュニティの場となるデイサービスを開設しようと考えていました。ただ私自身、このデイサービスに事業性があるのか確信が持てなかったため、アドバイスをいただけることも期待して、このビジネストライアルに参加しました。

このイベントの目的は「社会問題を解決できる事業の支援」でした。

イベントに応募するとコンサルタントが付いてくれて、私の場合いろいろなデイサービスの見学や経営者の方からアドバイスをいただくことができました。

その中で最も影響を受けたのが富山型デイサービスの「このゆびとまれ」さんでした。看護師の惣万さんが経営されるデイサービスで、民家を改装した施設で高齢者と障がい児が一緒にサービスを受けていました。

コンサルタントの方から「富山にこのような施設があるけど見学に行きませんか?」と声をかけられた時は、(事故とか怪我など大丈夫だろうか?)と思いましたが、実際に施設を訪問してみると利用者さん同士がお互いを助け合う大家族のような印象を持ちました。

このビジネストライアルの最後には、全員の前でのプレゼンテーションが行われました。私は、デイサービスに学童保育を併設した「世代間交流型デイサービス」をコンセプトとするプレゼンテーションを行いました。無事にプレゼンテーションも終了を迎えた時、審査員からの質疑応答の時間で意外なことを質問されました。

「あなたの仕事を一言で言うと何ですか?」

私が薬剤師として調剤薬局の仕事をしていることはプロフィールシートでご存知だったので、仕事の目的や大切にしていることを尋ねられていると思い、

しばらく少し考えたあとに「目的は患者さん生活の質を高めること、そのために大切にしていることは患者さんの薬を服用することに対する不安の解消」と返答しました。

年間500億とも言われる残薬のうち本当に飲み忘れて残っている薬はどれくらいでしょうか?

薬の副作用が心配で自己判断で減量されている患者さんから時々相談を受けることがあります。実は・・・ドクターには伝えていませんが、○○の薬を飲み始めると一生止められないと聞いて、毎日の測定値が高い時だけ飲んでいます、週刊誌に〇〇という薬に副作用があると書いてあったので3回のところを1回にしています、などなど。その都度処方されたお薬の必要性をお話させていただいて、ドクターの指示通りに服用していただくようご理解していただきますが、これは氷山の一角だと思います。

外来、在宅に関わらず毎日の服薬指導の中で薬の説明や副作用の確認などだけでなく、趣味や地域での活動、ご家族様のことなど患者さんが関心のある話題を通じて安心して話していただける関係を築いて、もっとたくさんの「実は・・・」に関わり、患者さんの不安の解消に努めていきたいです。