「献血」で社会貢献と健康管理

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医療技術が進んだ現在でも、血液を人工的に造ることはできません。そのため、病気やケガで輸血を必要としている人に血液を届けるためには献血が必要です。献血について改めて考えてみませんか。

若い世代の献血が減り続けている

輸血を必要とする人の多くは50歳以上で、高齢になるほど増えてきます。一方、献血者数は近年、減少傾向にあり、特に10~30歳代の若い人たちの献血が減っています。今後、少子高齢化が加速することで輸血の必要量が増えるのに対し、供給量は逆に減っていくと思われます。そのため輸血が必要なときに血液製剤が手に入らず、生命に危険が及ぶ可能性すらあります。そうした事態を避けるには、多くの人に献血に協力してもらう必要があります。

献血には、血液中のすべての成分を採血する「全血献血」と、自動成分採血装置を用いて、血小板や血漿など特定の成分だけを採取する「成分献血」があります。献血の種類によって異なりますが、16歳から69歳までの健康な人であれば、基本的に誰でも献血できます。

どちらの献血を行うかは、本人の希望と年齢、体重などによって決められますが、献血当日に発熱していたり、体調が悪かったりすると、献血ができない場合もあります。また、年間採血回数や年間採血量などの制限もあります。

血液の状態を詳しくわかるメリットも

献血には人のために役立つこと以外にも、大きなメリットがあります。 それは、生化学検査と血球計数検査の結果を、郵送や日本赤十字社の献血Web会員サービス「ラブラッド」などで知らせてくれること。生化学検査項目には、肝機能を判断するALTやγ-GTP、アルブミンのほか、血中コレステロール、血糖の管理指標であるグルコアルブミンなどが含まれます。血球計数検査では、貧血の有無を知る目安となる赤血球数やヘモグロビン濃度、免疫機能をもつ白血球数などがわかります。

また、これらの検査とは別に、事前にウイルス性肝炎検査や梅毒検査などを希望した人には、異常が認められた場合は、親展書簡で伝えてくれます。このように血液の状態を詳しく知ることができるのです。

献血は最寄りの献血ルームで

献血は、献血ルームや献血バスなどで行えます。献血終了後、お菓子やお茶、ジュースなどが用意されているところもあります。最近はタロット占いやハンドマッサージが受けられる献血ルームもあるようです。献血ルームの場所は日本赤十字社のHP(>> https://www.jrc.or.jp/about/search/bloodroom/)で探すことができます。

今は健康であっても、いつなんどき輸血を必要とする側になるかわかりません。献血ができる状態の人は、検討してはいかがでしょう。

なお、献血についてわからないことがある場合は、薬局の薬剤師に気軽におたずねください。
イラストレーション:堺直子