まちの薬局つれづれ日記 第19回

2019.10.23 薬剤師コラム


日常の中で感じるあんなこと、こんなこと。
class A 薬局の仲間で、高田馬場薬局(東京都)薬剤師の北川晋さんがお届けします。

新人社長の悩みどころ(在宅篇)

個人の薬局では、在宅医療にどのように関わるのが理想の形なのでしょう?
私の場合、前職のチェーン薬局で「在宅事業部」という部署の立上げに関わり、外来メインではなく在宅をメインにした薬局をグループ内に開設し、クリーンベンチも設置して積極的に在宅訪問の依頼を受けておりました。

在宅訪問バッグの中身

在宅の時に必要な一包化などの調剤業務はもちろんのこと、在宅医療を積極的に行っている医療機関や有料老人ホーム、普段お世話になっているクリニックなどへの働きかけ、そしてグループ内の薬局では、その薬局が在宅の依頼を受けた際のサポートや、人材育成のための研修などなど、在宅訪問に関するさまざまな業務を経験させてもらっていました。しかし、これは人材や資本力のあるチェーン薬局だからこそできるのだということを今になって痛切に感じています。

独立して、いざ在宅も……と思った時に、資本力もなければ人材もない状態でどのように進めたらよいのか、そしてどのような形が患者さん(利用者)にとって理想の形なのか、これらを考えるとなかなか答えが出せずに日々悶々としながら手探りで進めています。
現在の高田馬場薬局における日々のスペックは、薬剤師約2人(私を入れて)+事務スタッフ1人(いない時もある)という体制です。印字のできる分包機はありますが、クリーンベンチはありません。
人員が少ないため、外来を受けている時間はなかなか自由に抜け出せません。訪問先の都合もありますし、あまり遅い時間に訪問することも難しいので、訪問できる時間は非常に限られてしまいます。
また24時間対応できるのは、今のところ私だけです。さらに車もありませんので、機動力は徒歩と電動自転車と公共交通機関のみです。果たして、このような薬局に在宅訪問の依頼が舞い込んでくることはあるのでしょうか?

あるんです。実際には条件が合わないこともありますが、依頼をされた際に、利用者はもちろん、医師やケアマネジャー、ご家族、ケースワーカーさんなどとしっかり相談させてもらい、現在ほんの数件ですが在宅訪問をしています。おかげさまで、今のところは急ぎの対応なども何とかこなしています。
今後はもう少し訪問件数を増やしていきたいと思っています。薬局の人員構成も少し変更できればと思いますが、これが個人薬局ではなかなか難しいところです。

それ以外にも新人社長の課題は、日々の業務を「効率良く」こなし、在宅やオンライン診療に関わるために薬局の機能をもっと充実するように整えていくこと……なのですが、いつも患者さんとの長話がメインになってしまい、なかなか「効率良く」とはいかないものです。
「患者さんとの長話」というのも結構な地域貢献になると思うのですが、地域支援体制加算の算定要件の1つになるということはないでしょうね。

text by 北川晋(きたがわ・しん)

東京薬科大学卒業後、ウヰスキー会社勤務を経てチェーン保険薬局へ。調剤業務だけでなく、店舗開発・採用・在宅などの業務を経て2017年9月より高田馬場にて薬局を開業し今に至る。薬剤師、経営者として孤軍奮闘している新米社長です。