まちの薬局つれづれ日記 第22回

2020.07.22 薬剤師コラム


日常の中で感じるあんなこと、こんなこと。
class A 薬局の仲間で、高田馬場薬局(東京都)薬剤師の北川晋さんがお届けします。

まちの薬局

皆さんもたぶんそうだと思いますが、私も以前の職場にいる時から「かかりつけ」「地域密着」などというキーワードを掲げて薬局運営に携わってきました。しかし、グループの保険薬局には、異動やさまざまな事情がございまして、現実にはなかなか難しい局面が多く、今になってみると本当の意味での「まちの薬局」というのはなかなか難しかったのかなぁと思っています。

そんな私がグループの保険薬局を飛び出して「まちの薬局」を目指すことになるのですが、いざ始めたところで、直ぐに「まちの薬局」になれるかというとそう簡単にはいきません。「自営ならば自由にできるのではないか」と思われがちですが、ウチのような零細ではなかなか思うようにはいきません。
そして、自営でやってみるとグループの保険薬局の良いところがたくさん見えてきます。人的な確保やシステムの導入、そして方向性を考える上での相談相手などなど。個人ではなかなか手の届かない部分が多く、「本当に独立して良かったのだろうか」と考え込んでしまうことも少なくありませんでした。

そうは言っても飛び出したからには「まちの薬局」を目指すわけですが、もし自分が「まちの人」だとしたら、新しくできた薬局に直ぐ入るでしょうか?もちろん薬局がそこしかなければ入りますが、高田馬場には個人店から大手チェーンやドラッグストアの薬局併設店もある中で、どのようにしたら選ばれる薬局になれるのか……。
まだまだ修行中ですが、何となく少し見えてきたことがあるような気がします。

いくつかある中の大きなポイントとして、結局のところ街の中で一緒に生活しないとダメなんだと思いました。
街の中には、薬局だけでなくさまざまなお店や会社そしてお住まいの方々がいます。その方々にとって薬局は特別なものではなく、普段の生活の中にある普通のお店の一つであって特段注目するものではありません。
独立したばかりの時、私の中では「かかりつけ」や「地域密着」という言葉が少し独り歩きしていたような気がします。
今では、あまり「かかりつけ」や「地域密着」ということを意識し過ぎず、利用いただいている皆さんそれぞれにとってお役に立てる薬局であればと思っています。当たり前のことなのですが、普通のお店と一緒です。
少し肩の力を抜きつつ、近所のスーパーで挨拶したり、道端で立ち話をしたりしながら、これからも一家に一台ある冷蔵庫のように「まちの薬局」を続けられればと思っております。

早いもので「まちの薬局つれづれ日記」の原稿依頼をお受けしてから約1年半がたちました。
依頼を受けた当初は、開業してまだ1年ちょっとしかたっていませんでしたので、正直「それどころではないだろう」というくらいの状況でしたが、あっという間に薬局も丸3年を迎えようとしています。
相変わらず零細なので薬局はヒマなのですが、社長業としてはやることが結構あったりします。なんだかんだと忙しくしていると日記の原稿に限らず「考える時間」を取ることがなかなかできませんでした。この原稿のご依頼を受けたことで、「考える時間」の大切さを勉強させてもらったような気がします。

今回で最後の原稿になります。オヤジのボヤキにお付き合いいただきまして誠にありがとうございました。
もし、「もう少しボヤキを聞いてやっても良い」という奇特な方がいらっしゃいましたら、ぜひ薬局にお立ち寄りください。基本的に毎日店にいます(笑)。

text by 北川晋(きたがわ・しん)

東京薬科大学卒業後、ウヰスキー会社勤務を経てチェーン保険薬局へ。調剤業務だけでなく、店舗開発・採用・在宅などの業務を経て2017年9月より高田馬場にて薬局を開業し今に至る。薬剤師、経営者として孤軍奮闘している新米社長です。