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ゆきさん薬局

2019/06/14

かぜの時、お風呂に入って暖まってはいけないの?

~授乳中ではありませんか?~

激しい咳をしながら、ゆきさん薬局に田中さんが入ってこられました。

ゆさきん
「あらあら、大変。最近は風邪の患者さんが増えてきていますね」

田中さん
「咳が止まらなくて、あきらめて病院に行ってきました」

ゆきさん、処方箋を見ながら、「少しこじれているみたいで、抗生物質も出ています。確か他に飲んでいる薬は、無かったですよね」

田中さん
「えぇ、ありません」

ゆきさんは「今、用意しますから少しお待ちくださいね」と言って、早速準備に入りました。

準備が出来ると、田中さんをお呼びして席に着きました。
「田中さん、ご用意が出来ました」

ゆきさん、今度は薬歴の画面を確認しながら、話始めました。
「この間は、頭痛があるので、鎮痛剤を時々飲んでいるという話でしたが、今はどうされていますか?」

田中さん
「ゆき先生、そんなことも記録してあるのですね。時々飲んでいるけど、この間レボフロキサシンとの飲み合わせで手が震えたから、今回は飲みません」

ゆきさん
「そういえば、下のお子さんまだ小さかったですよね」

田中さん
「そうなんです。1歳で授乳していますが、今日のお薬は授乳中でも大丈夫ですか?」

ゆきさん
「授乳中に薬を飲む影響、注意ですが、いつも二つの事を気にしています。一つは、『母乳に移行、つまり母親が薬を飲むことによって母乳にその薬が入っていくことがあるか』、もう一つは、『そもそもその薬を、子供が飲んでも大丈夫なのか』です」

田中さん
「なるほど、それでこの薬はどうなんですか?」

ゆきさん
「レボフロキサシンは、母乳への移行が認められていて、服用中は授乳を避けるような薬です。また、レボフロキサシンはニューキノロン系の抗生物質で、出来ればお子様には控えたいお薬です」

田中さん
「子供が飲むとどうなるのですか?」

ゆきさん
「子供用のニューキノロン系抗生物質はあるのですが、まれに痙攣を起こすことがあります。他に吐き気、下痢などの副作用もありますが、服用をやめれば止まります。しかし、乳児にはつらいですよね。授乳を中止する事は、可能ですか?」

田中さん
「母乳を上げるのは寝る前の1日1回になっていて、普段はほとんどミルクを上げているので、やめる事は可能です」

ゆきさん
「それなら、お母様の治療を優先して、今回はこの薬を飲みましょう。どうしてもお子様が母乳をほしがるようでしたら、授乳直後に薬を飲むという方法もあります。1日1回の授乳だと、ちょうど薬が切れる頃なので可能だと思いますが、以前お母様もロキソプロフェンとの飲みあわせで手が震えた事があるので、今回はそれも避けた方が良いでしょう」

田中さん
「はい、わかりました」


~かぜの時、お風呂に入って暖まってはいけないの?~

ゆきさん
「そういえば、田中さん、お風呂はどうされていますか?」

田中さん
「子供を入れるので、一緒にゆっくりと浸かっています」

ゆきさん
「咳は、お布団に入っての寝入りばなとかにひどくなりませんか?」

田中さん
「確かに、咳は寝る前に一番出ます」

ゆきさん
「そうでしょう。激しい咳をする人は、暖まるとひどくなるんです。」

田中さん
「どうしてですか?」

ゆきさん
「激しい咳をする人は、気管支の炎症、つまり気管支炎になっています。お風呂に長く浸かると、この気管支炎を暖めることになります」

田中さん
「それが、悪いことなんですか?」

ゆきさん
「捻挫をしたときに、最初にした方が良い事は、アイシング、つまり冷やすことです。これは、炎症を抑えるために冷やすわけです。」

田中さん
「確かにそうですね」

ゆきさん
「気管支も同じで、炎症が起きているときに暖めると咳が悪化します。だから、布団に入って暖まってくると咳が出てくるんです」

田中さん
「母が、先日温泉に行って風邪をひどくして帰ってきたけど、それも同じことなのね」

ゆきさん
「そうなんです。風邪の症状にもよりますが、咳が激しかったり、喉が腫れていたりしたときに、温泉で暖まると炎症を悪化させて、よりこじらせてしまいます」


~温泉は、体に良くないの?~

田中さん
「なるほどね、じゃあ温泉は体に悪いんじゃないの?」

ゆきさん
「普段体を暖めることは、とても良いことですよ。体中の血行は良くなるし、熱は体の中の悪い細菌を殺してくれたりします。温熱療法でがん細胞を減らすという治療法もあります」

田中さん
「そうよね」

ゆきさん
「でも、先程話したように、炎症を暖めると悪化するので、その場合には注意が必要です。特に咳の場合には、蒸気が良いことは皆さん知っているので、温泉で暖まるのが良いと考える人が多い様です。確かに、蒸気はのどに潤いを与えるので良いことなのですが、実際には、気管支炎を暖めて悪化させている人が多いです」

田中さん
「それじゃ、しばらくは子供のお風呂は主人にお願いして、私はシャワー程度にするは」

ゆきさん
「その方が良いですね。しかし、気管支を暖めると悪化するとは言いましたが、冷やすのが良いということではないので、勘違いしないでくださいね。シャワー程度がベストだと思います」

話を聞いて、田中さん「どうもありがとうございました」と言って、立ち上がりました。

ゆきさんは最後に、「家族にうつさないためにも、マスクもしておいた方が良いですよ。のどに潤いも与えてくれます」と声をかけました。

田中さん「はーい」と元気な返事をしたものの、また咳をしています。
「お気をつけて」と言って、明るくお見送りをするゆきさんでした。

登場人物

★田中恵子
田中恵子(たなか けいこ) 45歳 女性
専業主婦
毎日子育てに追われている

※ゆきさん薬局の物語に登場する人物は、フィクションです

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