傷寒論 太陽病中篇 第七十九條

傷寒十三日不解胸脇滿而嘔日晡所發潮熱已而微利此本柴胡證下之而不得利今反利者知醫以丸藥下之非其治也潮熱者實也先宜小柴胡湯以解外後以柴胡加芒硝湯主之。

傷寒、十三日解せず、胸脇滿して嘔し、日晡所潮熱を發し、已って微利するは、此もと柴胡の證、之れを下して、利することを得ざるに、今反って利する者は、知る、醫丸藥を以て之れを下せるを、其の治に非ざるなり、潮熱する者は實なり、先づ、宜しく、小柴胡湯にて、以て外を解し、後、柴胡加芒硝湯を以て、之を主どるべし。

傷寒にかかってから十三日ほどたっても、治らずに、胸や脇腹がはって嘔きけがあり、夕暮れになると身のなかの方から熱がぽーっと出て來て、その熱がさがると、少しく下利をする。これはもともと柴胡の證で下したところが下らなかったのに、今反って下利をするものは、柴胡湯で下さずに、醫者が誤って丸藥の下劑で下したためである。この治療法は、正しい治療ではない。潮熱を發するものは内實である。まず小柴胡湯で半表にある邪を解してみなさい。それで潮熱が止まなければ、柴胡加芒硝湯が主治するのである。