傷寒論 太陽病中篇 第九十七條
太陽病當惡寒發熱今自汗出不惡寒發熱關上脈細數者以醫吐之過也一二日吐之者腹中饑口不能食三四日吐之者不喜糜粥欲食冷食朝食暮吐以醫吐之所致也此爲小逆。
太陽病、當に惡寒發熱すべし、今自汗出でて、惡寒發熱せず、關上の脈、細數なる者は、醫、之れを吐するを以ての過ちなり、一二日に、之れを吐する者は、腹中饑え、口食する能はず、三四日に、之れを吐する者は、糜粥を喜ばず、冷食を食せんと欲し、朝たに食したるを暮べに吐するは、醫、之れを吐するを以て、致す所なり、此を小逆と爲す。
太陽の經に病を生ずると、當然さむけがして熱を發するはずである。ところが今自然に汗が出て惡寒や發熱する様子もなく脈をみて見ると、關上の脈が一番つよいはずであるのに、細くて速いものは、醫者が間違えて吐かせたためである。
太陽病にかかって一日か二日に吐かせたものは、腹はすいているけれども口に熱があって、食べることができない。三四日たって吐かせたものは、暖かなやわらかいお粥を食べたがらず、冷たいものを食べたがり、朝食べたものを夕方になって吐いてしまうのは、醫者が吐かせたために熱が中に入って、そうなったのである。これはかるい逆治であるとするのである。
