傷寒論 陽明病 第四十五條

陽明病脈浮而緊咽燥口苦腹滿而喘發熱汗出不惡寒反惡熱身重若發汗則躁心憒憒反讝語若加燒鍼必怵惕煩躁不得眠若下之則胃中空虛客氣動膈心中懊憹舌上胎者梔子鼓湯主之。若渇欲飮水口乾舌燥者白虎加人參湯主之。若脈浮發熱渇欲飮水小便不利者猪苓湯主之。

陽明病脈浮にして緊、咽燥口苦腹滿して喘、發熱汗出で惡寒せず反って惡熱身重す、若し汗を發すれば則ち躁し心憒憒として反って讝語し、若し燒き鍼を加はふれば必ず怵惕煩躁眠るを得ず、若し之を下せば則ち胃中空虛客氣膈を動じ心中懊憹す、舌上胎の者は、梔子鼓湯、之を主どる。若し渇し水を飮まんと欲し口乾舌燥する者は、白虎加人參湯、之を主どる。若し脈浮發熱渇し水を飮まんと欲し小便不利する者は、猪苓湯、之を主どる。

陽明病で脈が浮いて緊を現わし、のどが燥いて口が苦く、腹が張ってゼイゼイし、熱を發して汗が出て惡寒せずに反って惡熱して身が重いこの病狀は、陽明病ではあるが表裏に病邪がある。脈が浮で發熱するのは邪が表にある。咽燥して口苦するは熱が經に在る證拠である。
 脈緊で腹滿して喘し、汗出でて惡寒せず反って惡熱するのは、邪が裏に在るのではないだろうか。故に表裏に邪があるというのである。もし汗を發すれば表を攻めて、表熱がとれるけれども、内熱ますますひどくなる故にあつがって、胸のあたりがじりじりしてうわごとをいうようになるのである。もしも燒鍼を加えると、身體がガクガクとなって苦しくなり、眠ることが出來なくなる。
 もしも下すと胃の中がからっぽになって虛してしまい、客氣が横隔膜を動揺させて胸の中が苦しくなって、なやましい氣持ちになり、舌上に白苔が出來るようになる者には梔子豉湯が主治するのである。
 もしのどが渇いて水を飮みたいと思い、口が乾いて舌がはしゃぐ者は、白虎加人參湯が主治する。もしも脈が浮いて熱を發し、のどが渇いて水を飮みたがり、小便の出の惡い者は猪苓湯が主治するのである。