薬膳100の話:「うじむし」療法

 死体や糞便に大量に発生するため、大多数の人間は蛆に対して強い嫌悪感を覚えます。。
しかし、考え方を変えれば蛆のお陰で糞便や死体が処理されるともいえます。

 そして、以外なことに医療にも応用されています。

まだ、抗生物質のない時代、戦争時や、傷の手当や治療が不十分で不潔な包帯を放置された場合など、傷口にウジがわくことは多くありました。

 けが人にとってはむず痒く、極めて不快であるとのことだが、ウジが膿や腐敗した部分を食べることで傷口がきれいになり、むしろ傷の状態がよくなる場合があります。

 この性質を利用してアメリカで南北戦争のときに膿の除去に蛆を用いた療法が行なわれていました。ただし、用いる蛆は「ニクバエ」の幼虫で、「キンバエ」の幼虫は皮下組織まで食い進むので治療には適しません。 

 近年、糖尿病性壊疽など抗生物質の効きにくい疾患に「無菌蛆虫」を使用する研究がされています。
 きわめて安全性の高い治療法である反面、やはり治療を拒否する患者さんも多くいるようです。


  (写真:「紅葉のトンネル」山越えの風景より)