ジェネリック医薬品を分析す!

第43回日本薬剤師会学術大会(長野)で
「ABC分析をつかった
 後発医薬品の薬剤費削減効果の検証」
という口頭発表をさせていただくことができました。

 ダイジェストにしてまとめましたので、
御意見をいただければ幸いです。。

患者さんに喜ばれるには。

 【 患者さんに喜ばれるには。】

○「後発医薬品」の変更が進まない理由。。

 4年前から、薬局での後発品への変更が
解禁になったにもかかわらず、まだまだ

「後発品変更不可!(ジェネリックに変更してはいけない。)」
と書かれた変更できない処方箋が多くあります。

 なぜ!・・と思っていたとき、、
ある在宅関連のシンポジウムで医師が語った言葉・・
「医者は、“患者さんのため”という言葉によわいのですよ。。」

 そうか、「後発医薬品の変更」が
“患者さんの利益に”になるものなら・・・OKとなるかも。。

薬局でできる「コンコーダンス」?

 実は「柿木つくし薬局」では
いままで、心理的影響をうける(30%ぐらい?)
うける安定剤・睡眠剤は患者さんに勧めてませんでした。

 でも、うつ病など治療が長引くものなど
「お金の負担が病気の悪化をまねくことがある」
と、いう話をきいて患者さんに
「どうしましょう?」と聞いてみると

 「ジェネリクで!」
という患者さんがほとんど!

 薬剤師を何十年もしていて初めて
「ありがとう!」と感謝されました。。

後発品で浮いたお金で。


 ある日のこと、隣市の日赤病院・泌尿器に受診の患者さん。
(80歳 農業)

ジャネリック医薬品に変更したところ、1割負担で
3000円以上のが約半額の1500円に
 ものすごくうれしそうに帰っていかれたあと

・・30分ぐらいして、
今度は、隣の医院のシップの処方箋をもってこられた。

 夏の暑い時期の農作業がこたえたのか
痛み止めの注射をうってもらったとか。。


 なんと、後発品変更で浮いた金で
もう一軒、病院にかかったようで、、

 医療品の節約になったかどうか不明だが
患者さんのクオリティライフを向上・将来の医療費の
節約になったはずです。

特殊製剤の変更が可能に・・

【 二倍量製剤など特殊製剤の変更が可能に 】

 平成22年の調剤報酬改正から、金額が安くなるなら
・剤形・剤数の変更が可能
(カプセルから場へ、5mg×2錠が10mg×1錠もOK)

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例えば、エビブロスタット6Tー約150円/1日分が
  ⇒2倍量製剤のエルサメットS錠3T-約30円/1日分

と計算ミスかとうたがうぐらい安くなり
コンプライアンスもアップ。

他にも、病院の採用品目に関係で小さい規格で入っているものの
錠剤数の減らすことができる。

正直なはなし、OD錠に変更して喜ばれたことはないが
これは患者さんにすごい感謝される。。




ところで、いくら節約できるか?

【 ジェネリック医薬品で節約できる金額 】
・後発品率ー厚生労働省の目標30%達成・・したとして、、

「ところでいくら節約になったの?」
「それはわかりません。。」
 では、意味がない!

ということで、柿木つくし薬局での
節約できた金額と割合を計算。。

期間          節約金額 割合
平成18年4月~平成19年3月 \3,409,632  5.6%
平成19年4月~平成20年3月 \5,243,749  8.4%
平成20年4月~平成21年3月 \7,100,141  10.2%
平成21年4月~平成22年3月 \9,031,090  12.4%

なにを変更すればいのか?

数量ベースを上げるには、
数の多く出ているいる薬を後発品に変更すればよい。。

では節約金額を上げるにはどうすればよいか。。
実は、柿木つくし薬局では、
先発との薬価差の大きい後発医薬品をから採用して
患者さんに勧めていたが、

変更のために採用している後発医薬品100品目を調べてみると
薬価差が100円前後のものは数があまり出なく
10~50円前後で数がたくさんでるものが
より多く節約できていることがわかった。

で、「節約金額した金額」と「数量」「薬価差」の
相関図・相関係数を作ってみました。

後発品変更に必要な品目数は?

○「インターネット販売」・「居酒屋」・「コンビニ」「ドラックストアー」などでは品ぞろえが必要!

⇒ところが「病院」「薬局」では後発品に変更に必要な
「時間」「場所」など限られているので、
一度に手を広げると「業務崩壊」の危険。。


【 金額のみ節約しようと思えば 】

パレートの法則とは
“商品の売上の8割は、
 全商品銘柄のうちの2割で生み出している 。”

 なら、柿木つくし薬局では
後発品変更のために100品目そろえたが・・
20品目もあれば、そこそこの節約ができるのでは

ということで、「ABC分析」をしてみた。。

ABC分析の結果。

で、ABC分析の結果を、
分析の結果を平成21年度節約金額に当てはめると

○柿木つくし薬局は100品目で12.6%の節約ができていたが
 薬剤費の削減の内訳をみてみると
・上位17品目で全薬剤費の7.6%(12.6%の6割)
・上位 32品目だけで約10.8%(12.6%の8割)」

となりました。。

おまけ。

 さて、厚生労働省は
「剤数ベースで30%」を目標にしています。。

 医薬分業を開始したときも
「とりあえず分業率30%を目標」として大成功。。
確かに、30%というのはわかりやすいが、
これを、後発品の普及率にもあてはめるには無理があるのでは、

 と、いうとで1日ごとの後発品で
「節約できた金額」「割合」と「数量パーセント」
を調べてみると、、
・同じ金額を節約しても数量%は5%以上違う日がある。
・節約%は10%以上キープしても、数量%は20%違う。

と、特定の患者さんや処方箋がくると
節約に金額に関係なく、ものすごく変動するものである!
ということがわかりました。。

 では、どうすればよいのか。。
数量べースだけでなく節約金額(または%)を
考慮するように“政治力”でなんとかならないものでしょうか?