やまぶしたけ

ヤマブシタケは、中国や北米、日本に広く分布する食用きのこの一種で、日本では数少ないサンゴハリタケ科のきのこです。

老人のあごひげにも似た真っ白い針がたくさん垂れ下がった、おもしろい形をしたきのこで、大きさは直径5-10cmくらいの球形。中には15cm以上の大きさのものもあります。

ヤマブシタケの名前にある「山伏=ヤマブシ」とは山野を歩き、仏教の修行をする修験者のこと。

ヤマブシタケの形状がこの山伏が着る鈴懸衣(すずかけごろも)の結袈裟(ゆいげさ)にある丸い飾りによく似ていることからそう呼ばれるようになりました。
他に「漏斗茸=ジョウゴタケ」、「針千本茸=ハリセンボンタケ」、「ウサギタケ」などと呼ばれることもあります。

ヤマブシタケは中国では「ホウトウクウ(猴頭菇)」と呼ばれ、約400年も昔から食されています。「猴」とは日本語で手長猿のことで、「菇」は茸のこと。
ヤマブシタケが乾燥すると茶系に変色し、その風貌が手長猿の頭に似ていることから、そう呼ばれているようです。

中国では歴代皇帝が探し求め続けた茸ともいわれており、熊の手、ナマコ、フカヒレとともに「四大山海珍味」のひとつとして古来より珍重されています