『P-ネット』

 現在、長崎では、医師をはじめとする多くの医療スタッフが在宅医療に取り組んでいます。国の政策も在宅医療を推進する方向で進められており、最近では癌対策のための戦略研究なども各地で始まっていて、在宅で治療を希望する多くの患者様にとって在宅医療の質の充実は急務の必要条件となっております。

 しかしながら、その中にあって薬剤師の対応の遅れがそこここで指摘され、場合によっては受け入れ拒否をするケースなどもあって患者様やスタッフの皆様の信頼を損なう状況となっておりました。

 そうした様子に危機感と責任を感じた長崎市内の薬剤師の有志が集まり、まずは身近で活躍をされている長崎在宅Drネットの受け皿として機能していくことを目標に薬局間でネットワークを作りました。

 ネットワークを作ったのは、各薬局が在宅に取り組む際に、さまざまな負担が一箇所に集中しないようにお互いが助け合って在宅医療活動が無理なく継続していけることで、患者様や医師の先生方、看護師さんなど在宅にかかわる全ての人に薬剤師の必要性を感じていただけるようにしようと言う思いと、在宅に関連する情報を共有することでこれに関わる薬剤師全体のレベルアップを図っていけたらと言う考えがあったためです。

こうした背景を持って平成19年7月に長崎薬剤師在宅医療研究会(Nagasaki Pharmaceutical Care Network)通称(P-ネット)を発足いたしました。

同ネットには、長崎市内の開局を中心とする薬剤師が参加しています。

1)活動の目的

在宅患者訪問薬剤管理を行うことによりグループとして在宅医療の受け皿となる。そうすることで、他の医療スタッフの患者様への説明の手間が省け、患者様の薬剤に対する理解が深まり、デリバリーについても患者様や家族の負担が軽減する。(在宅における薬剤の配達、管理、指導の分野を担当)

また、グループ内の連携により緊急時の対応を行う。

薬薬連携を組むことにより、患者様に可能な限り継続的で効果的な在宅医療を提供する。

薬局相互に薬剤管理上の相談を行い、さまざまな医療情報、医薬品情報を共有することにより医療の質の向上を目指す。

薬局間の余剰の薬剤をやり取りすることでデッドストックの解消を図っていく。

参加する薬局間および病院薬剤部間の親睦を図る。

2)活動方法、内容

当連携の参加薬局は、基本的にいついかなる場合でも対応可能で、メールによる連携が可能であることを前提とし、在宅連携を組む。

このため各薬剤師は常に連絡可能な通信手段を確保し、お互いそれを共有する。

具体的には携帯電話、電子メール環境を整備する。

参加薬剤師は、連携薬剤師、病院薬剤師に分類される。

『連携薬剤師』
担当薬局として薬剤管理指導を行う薬剤師とそれを補佐するサポーター薬剤師からなる。

担当薬局は患者の居住地域と薬剤師の経験等を考慮して決められ、さらにサポーター薬剤師が訪問薬剤管理指導の分担や緊急対応を担う。

『病院薬剤師』

病院・大学病院の勤務薬剤師で、薬薬連携を実践して、専門的な立場から助言を行う。

このように、いかなるケースにおいてもきめ細かく対応できるシステムを準備している。

また、当ネットの取り組みに次のようなものがある。

依頼をされる患者様の退院時カンファへの参加

メーリングリストを活用した情報の交換

会員薬剤師の技能向上のための勉強会(毎月一回のペースで行っています)

学会等への研究内容の発表と業績報告

在宅医療活動スタッフ(医師、看護師等)への医薬品情報提供

H.22.4.9

 今回は「インフューザーポンプ」を実際に使っての研修会でした。実物を見るのも触るのも初めてで貴重な経験でした。注射器を使って薬液(今回はブドウ糖)の流れを見ることで、ポンプの仕組みがよくわかりました。現在、薬局薬剤師が関わることは少ないかもしれませんが、近い将来、在宅などで薬局薬剤師が混注して訪問するのが当たり前になるかも知れませんね。

H.22.7.28

-+- あじさいネットワークとは -+-

 地域に発生する診療情報を患者さまの同意のもと、複数の医療機関で共有することによって各施設における検査、診断、治療内容、説明内容を正確に理解し、診療に反映させることで安全で高品質な医療を提供し、地域医療の質の向上を目指すものです。

 長崎では現在5件の薬局が参加しており、患者の同意のもとカルテ等が閲覧できるようになっております。長崎市内の病院・診療所が昨年末ぐらいから参加を始めたところですので、これから薬局の参加数も今から増加してくると思われます。
 調剤薬局の薬剤師が病院でも検査結果、診断、治療内容、入院時の治療経過などが閲覧できるようになるとは信じられないぐらい画期的なものです。 しかし、このような情報を入手できるようになったら薬剤師が問われる責任も大きなものとなってくるでしょう。今まで患者背景や検査結果など不透明な中で行っていた調剤や服薬指導も180度変わってくるのではないかと思います。